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馬と旅行 特別編 モンゴル 2012 〜乗馬編2〜

《乗馬二日目 ホスターノロキャンプ〜バヤンツォグトキャンプ》


ホスターノロというのは、白樺の森という意味らしいのですが、視界のなかには白樺はありませんでした。それだけ広いという事でしょう。夜の間、馬たちは自由に草をはむように放牧してあったようです。写真はホスタイ国立公園のキャンプ場入り口の看板です。右中ほど、向こうの斜面に馬が2頭みえるでしょうか。

昨日と違うお馬に乗れるのかと思ったら、乗るのはツアーの間中同じ馬だそうで、知らなかったのでとてもショックでした。前回の時は毎日違う馬に乗せてもらえたので。こんなに馬がたくさんいて何日も乗るのに、一頭だけなんてね。どうも移動型のツアーだと一頭に固定で乗るらしいです。

気を取り直して出発。今日も良いお天気。日本と同じくらい気温は暑いけれど、空気が乾燥しているので、汗が流れるようなことはありません。
今日も45キロくらい進む予定。とにかく移動するので、行く先々で景色が違います。草原といっても、起伏は多く、遠くには山が見えたり足元は急な坂だったり。今日は、速歩や駈足取り混ぜて、いい調子で進みました。

午前中、麦畑を突っ切って進んだのがとても楽しかったです。麦も生えているけど雑草も同じ高さぐらいに茂っていて、不思議なところでした。乗り手の膝くらいの高さまで草があるのを、ざざざざっとかき分けて速歩で進みます。私の大好きな「指輪物語」のシーンのようです。ガンダルフとアラゴルン、レゴラス(後ろにギムリ)の乗る、3頭の馬が何時間も走り続ける場面、草の丈が高くて乗り手の膝に達するほどで、馬たちは緑の海を泳いでいるようだった…という、私のサイト「Ride on!」のタイトルの由来がここなんです。かなり長い距離をこの状態で進みました。わくわくどきどき、楽しくて楽しくて、来てよかった〜〜と本当に思いました。(写真が無いのが残念無念)

畦道に出てからは、駈歩もしてみました。私の栗毛くんは、駈歩は得意でないらしく、すぐ速歩になってしまいます。ただし、速歩でもとても速いです。よく、「モンゴルの馬は側対歩なんでしょ」と聞かれるのですが、普通の速歩は普通なんです。今回わかったのですが、速く進むときに側対歩(そくたいほ:左右の前足と後ろ足が同時に前に出る速歩)に切り替わるようですね。長く移動するには、この方が体力の消耗が少なくていいみたいです。


小高い丘でお昼休憩。向こうの方が一面黄色く見えるのは菜の花畑。青い空に白い雲が良く映えています。馬たちも自然の草がお昼ご飯。
さて、今日のモンゴル語会話。この馬は何歳?と聞いたら、15歳だよ、とB君が答えてくれました。15歳?と聞き返ししたら頷いて少しにんまりしていました。やった〜通じた。ちなみにほかの馬はほとんどみんな7歳だという事で、若い。私のだけやたらマイペースだったのは、ベテランの貫録だったのか?ともあれ、片言の付け焼刃でも通じるものです。

午後からは、舗装したアスファルトの広い道路の脇の土埃もうもうの道をかなり長く走りました。草原ではないので、暑さ倍増。途中にあった道沿いのゲルでは、庭でドラム缶で子供が水浴びをしていました。どこからあの水を引いてきたのだろう?
それにこの道は、工事の残骸の有刺鉄線が転がっていたり、ガラス瓶や発泡スチロールなど、いやなごみが転がっていて、馬が驚いたりするのでした。そして、KAさんの馬が何かに驚いて横跳ねし、彼女は落馬してしまいました。少し前を行っていたB君を呼び戻し、彼はさらにずっと先行していた伴走車を呼び戻すため、トップスピードで走っていきました。その姿のかっこいいこと。こんな非常時に不謹慎ながら、ほれぼれと眺めてしまったのは、内緒の話です。
彼女はそのまま車で病院に行くことになり、ガイドさんとNさんも馬を下りることにして、B君が今度は3頭の馬を引いていくことになりました。

舗装道路を横切って、キャンプまではまた草原を1時間ほど進みました。道路のわきには、羊飼いの少年が、自転車で羊を追っていました。羊といえば、11年前に行ったときは、羊の群れにほんの数頭山羊が混ぜてある程度でしたが、今は山羊の方が多いくらいになっています。カシミヤの方が高く売れるからだそうです。
また、先に進むと牛の群れが居ました。群れから随分はなれて牛の親子が草を食んでいて、そこへ暴走バイクが走っていき…と思ったら、牛飼いのおじさんでした。今の遊牧は、馬でなく自転車やバイクで仕事をする人も増えているんですね。

今日の宿泊地、バヤンツォグトキャンプは広々と解放感のあるところで、食堂棟は新しいきれいな建物で、シャワーもちゃんとお湯が出て、とても快適なところでした。オーナーの女性はとても友好的な方で、また片言のモンゴル語で少しお話をしました。基本は英語でしたが。モンゴル語でお花は「ツッツク」というそうです。ここでは、モンゴルの草原では珍しい、白いもふもふの愛玩犬も飼っていました。その上、もっと珍しく、猫も飼っていたんですよ。

モンゴルでは、お馬をつなぐのは、2本立てた棒の間に紐を渡して、その紐にお馬の引き綱を結びつけます。この日は、とても暑かったのですが、炎天下でもお馬たちは辛抱強く、仲良くくっつきながら立っていました。


夕方、近くに池が無いので、B君とキャンプの女の子たちがお馬たちに金属製の入れ物にホースで水を汲んで飲ませていました。すごい音がするので、怖がりのぶち毛くんは、思いっきり腰が引けています。紐でつながれていなかったら、走って逃げていたかもしれません。でも、ちょっと興味はあるし怖いもの見たさで、目が離せないといった様子でした。
お水を飲んだら、あとは明日の朝まで放牧です。遠くへ行かないように、前足を普通に立った時の幅で縛られているのですが、お馬たちは慣れたもので、キョンシーのようにぴょんぴょん跳んで移動しながら草を食んでいました。近くには、近所の遊牧民さんのお馬たちもいます。仔馬ちゃんが、縛られたおじさんの足を珍しそうに見ていました。


この日も月がとてもきれいでした。ほぼ満月。よくモンゴルのことを「天空の〜」という形容詞を付けて表すように、平らな草原でも、標高が1500m位と高いのです。そのせいか月がとても大きく近く感じます。そしてとても明るいのです。夜道を歩くのも、懐中電灯はいりません。ただし、その光で星があまり見えなかったのが残念といえば残念だったかな。

病院から帰ってきたKAさんは、やはり手首を骨折していました。旅行に誘った私としては、とても申し訳ない気持ちでいっぱいだったのですが、本人はとても元気そうにしていてくれたので、少しホッとしました。


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